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Pucelleダイヤリー

オタ話全開と親バカ日記 たまにSSも載せてみたり

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本館にて連載していました「Under Valentine」の2日後です。

別に特別な何かがあるわけではないです。
しょーもない小ネタww

本館にUPする程の内容でもないので、こっちでこっそり公開^^;


ではでは、気が向かれた方はどぞ^^

申し送り ~Under Valentine その後~

 

 

 良化特務機関に当麻の居場所が知れ、堂上と郁が当麻を護衛しながら関東図書基地に戻ってきたのは、バレンタインデーから2日ほど経過した日であった。

 深夜に良化特務機関が稲嶺邸に押し入り、そのままハリウッド映画顔負けの強行軍で関東図書基地に滑り込んでから数時間、当麻蔵人は極度の緊張と疲労から宿泊室で休んでいる。

 更に昨年11月の茨城県展において重傷を負い入院中の筈だった筈が、そこを抜け出て来た玄田隊長とこれからの対策の打ち合わせをすますと、空はうっすらとではあるが白んで来ていた。

 これから寮に戻ったところで仮眠にもならない。

 堂上はとにかく頭をすっきりさせようと、特殊部隊庁舎を出て防衛部庁舎に設置されている自動販売機へと向かった。

 自動販売機自体は特殊部隊にもあるが、少しでも外の空気を吸いたいと考えただけで、他に意図は何もなかった。

 深夜というには空は明るさを増し、かといって早朝と呼ぶのも躊躇われるようなこの時間帯。普段なら数名の夜勤が事務所に詰めているだけで静まり返っている防衛部庁舎も、今日ばかりはあちこちで人が動く気配があるのは、やはり今夜の逃走劇が原因だろう。

 そういえば堂上と共に当麻蔵人を守っていた郁は、今頃特殊部隊庁舎内の会議室で仮眠中だ。

 一旦、寮に帰れと促したのだが、帰ったところで十分な休息がとれる訳でもないのだから、このままいますと返された。そして少人数用の会議室で、手塚と一緒に机につっぷした形でつかの間の仮眠をとっているのだ。

 妙齢の女性が、例え気心の知れた仲間とはいえ、異性と同室で正体なく寝るのはどうかと心配もするが、事態が事態である。日頃の訓練の成果もあり、臨機応変に対処できる郁を部下として頼もしく思うのと同時に、大切な女性としては胸に迫るものがあった。

(ミルクティでも買っておいてやるか。 それと手塚にもな)

 自分用のブラックコーヒーを買った後に、再び小銭を自動販売機に投入しようとした。

 

「はーんちょー。俺、ミルクだけのやつね」

 肩にずっしりとかかる重さから聞こえてくる声は親友のものだ。このタイミングと小牧の楽しそうな気配に堂上から出るものはため息しかなかった。眉間の皺はもはや言及するまでもない。

「どうして、俺がお前にコーヒーを奢らなきゃならないんだ」

「えー? だって今買おうとしてたミルクティは笠原さんになんでしょ? で、ついでに手塚のも買ってあげようって考えたら、次は俺の番だろ?」

 喉の奥で笑う小牧に、さらりと痛いところを突かれた形となった堂上は、反論する気にもなれずに、再びこれ見よがしな大きな息を吐きながら、とりあえずはミルクティのボタンを押した。

 ゴトンと音をたてて出てくるミルクティを取るためにかがんだ拍子に、肩に乗っかったまま小牧の顔を払い落してやりたいのはやまやまだが、目の前の自販機はあいにく最新式のものである。

 メーカーが勝手に旧式と取り替えていったこの最新式は、購入者がかがまずともコーヒーやジュースを取り出せるように、わざわざ手元あたりに取り出し口がついている。

 

「ところでさ、はんちょー。昨日の申し送りなんだけど」

 郁のミルクティと手塚の微糖タイプの缶コーヒーを買った後に、小牧の分の小銭を投入した堂上が、今度こそ肩の上の顔を振り落とした。自分で飲むコーヒーは自分で選べと目線で伝えた。

「申し送りがどうした」

 小牧がミルクのみの無糖のコーヒーのボタンを押すのを眺めながら、堂上は自分のコーヒーのプルトップを開け、飲み口を口元に運んだ。声に苛立ちが消えたのは、小牧が放った申し送りという単語故にである。

 つい数時間前に良化特務機関とカーチェイスを繰り広げながら基地に帰還したのだ。

「違う違う。当麻先生絡みじゃないけどさ。俺、堂上から重要な報告を受けてなかったから」

 にわかに臨戦態勢の顔つきになった堂上に、小牧が苦笑しながら手を振った。その表情にどうやら緊急ではないと分り気が緩んだ。が、直後に緩んだ頬はひきつり仏頂面へと変化を遂げる。

 堂上を見る小牧の目の形が見事なカーブを描いていたからだ。

「重要? 必要な報告は何一つ漏らして無い筈だぞ」

「えー? そっかなぁ。今日っていうか、もう昨日? 進藤一正から面白い事、聞いちゃったんだよねー」

 もったいぶった小牧の弁だが、進藤という名前が出てくるに及んで、猛烈に嫌な予感にとらわれる。

大体が進藤はタスクフォースとしても、とりわけエース狙撃主として尊敬してはいるが、この先輩の悪乗りには辟易させられる事も少なくない。

 差し当たって堂上に進藤絡みで小牧を面白がらせる事は何一つ起きていない筈だ。ここ数日の出来事を反芻した堂上は、小牧のからかいを無視するようにコーヒーを一気に飲み込んだ。

 そして小牧もそんな堂上の反応にお構いなしである。

「14日さ、いつもの様に堂上宛のチョコが机の上にあっただろ。あれ、タスクフォースで食べるにしても、やっぱ本人に断ってからって、そのままにしておいたんだよね」

「ああ。それがどうした」

 実はこの段階で堂上に記憶に引っかかるものはあった。にも関わらず小牧を止めなかったのは、堂上の油断だ。

「昨日、俺達と交代して基地に戻ってから特殊部隊事務所に寄ったんだって? で、夜勤で詰めてた進藤班にチョコは好きにしろって言ったんだろ?」

「ああ、言った……ちょっと待て」

 堂上の頭に引っかかっていた記憶がはっきりと形を作りだしてきた。

 思わず口をついた堂上の制止など小牧はどこ吹く風である。

「それでお前、上着のポケットから板チョコを一枚出したんだって?」

「…………。」

 そうだった。

 稲嶺邸に持ち込んだ書類を緒方の机に置くために寄った特殊部隊事務所。堂上はあの時、上着のポケットの中にある、郁からの大切なチョコを引き出しにしまおうとして、一瞬だけ机の上に置いてしまった。ほとんど無意識に。

 こいつを愉快にさせてるのは、それか!

 頭を抱え込みたい衝動を辛うじて堪え、コーヒーを一気に飲み干した。

「それ、何でもキティが印刷された女の子向けの可愛い板チョコだったらしくて? で、進藤一正が自分の娘にやるからって、そのチョコに手をだしたとたん」

 ここで一旦区切った小牧は、さらに目を細め、先を続けた。

「堂上、血相かえてすっげぇ形相でさ、進藤一正からそのチョコを奪い返したんだってな!」

 そういう面白すぎる展開の報告を抜かされちゃ困るんだけど! と肩を叩きながら親友は上戸へと華麗なるダイブをやってのけた。

「俺のプライベートだ! 何で、そんな事をいちいち申し送りしなくちゃいけないんだ!?」

 こいつにこういった方面での反論はしないのが賢明だと、分ってはいても止められない。

 特殊部隊としての堂上は冷静な判断ができても、事がプライベートに区分され、郁が絡むと生来の熱さが顔を覗かせるのは、自分でも自覚済みである。

「だって、それって笠原さんからのチョコだろ? 一応、気にしてはいたし、柴崎さんにも報告しなくちゃ……さっ」

「報告するな! んなもん!」

「もうしちゃったしっ……けど……キティっ……堂上とキティちゃん……笠原さん、ホームランかっ飛ばしすぎだってっ!」

 堂上の肩をバンバンと叩きながら、笑い崩れた小牧に、堂上は顔を真っ赤にしながらも絶句するほかない。

 やべー。腹痛てぇ。と息も絶え絶えに笑い続ける小牧、ようやく言語能力を回復した堂上は親友の脳天に一発拳骨をいれた。

「いっそのこと、そこで笑い死ね!」

 それでも尚、上戸の荒波をただよう小牧を放置し、堂上は大股で特殊部隊事務所へと戻っていった。

 小牧の事だから、まさか郁に直接は言わないだろうが。

しか事の次第が柴崎にまで漏れているのなら、あの柴崎麻子の口を閉ざさせる事ができるものはいない。ただ、その矛先が郁ではなく自分に向かう事を祈るのみである。

「俺達も前途多難だな」

 今頃、ぐっすりと寝ているであろう郁を思い浮かべ、ミルクティを届けついでに起こす事にした。

 同じ部屋で手塚も仮眠中である。

いくら同期で気心がしれていて、二人の間には友情以外の何物も存在していないと分っていても、これとそれとは話は別である。彼女の寝顔は誰であろうと見せる訳にはいかない。

 

 

 

特殊部隊庁舎のドアを開けた時、更に白んだ空のどこかで一番鶏の鳴き声が響いた。



The end
 



しょーもない小ネタで失礼しましたww
実はUnder Valentineを脳内で妄想し始めた時から、堂上と小牧のこのやり取りはあったんです。
けど本連載ではここまで組み入れる必要性はないというか、帰って間延びするな……と判断し、省略しました。

でも何となくそのままボツにしちゃうのも、もったいないし^^

そもそもここのSSは、本館で公開したSSの小ネタやらお蔵入りネタを、ちょこちょこUPしようと考えていたので^^

この後、どじょ氏は会議室に入り、ぐっすりと眠り姫になっている郁ちゃんの寝顔をちょっとばかり堪能した後、軽く頭をはたいて起こすものと思われます。
「笠原、いつまで寝こけてんだ! 起きろ!」って^^
で、郁ちゃんが「ふぇっ?」と目覚めたのを確認してから、手塚の方へ向かい、肩をゆすりながら「手塚、そろそろ起きろ」と起こすww
当然郁ちゃんはおかんむりですよ!
「ちょっ! 堂上教官! 今のって!? あたしと起こし方違うじゃないですか! えこひいき反対!」と猛烈抗議ww
けど、どじょ氏も負けずに勢いで「お前がヨダレたらして寝てるからだ!」位は言ってる可能性ありです。

結局郁ちゃんは自分こそが特別扱いをされている事に気付かないという、脳内シアターでした^^

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プロフィール

HN:
梨菜子
年齢:
3
性別:
女性
誕生日:
2022/01/15
自己紹介:
FF10と金色のコルダ、図書館戦争にはまりまくりのオタ母です

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